特集2

変化する事業を支えるリスク管理の取り組み
お客さまに信頼される生産工場を目指す ーNPT加賀工場ー

ディバイス事業は、主力製品であるフィルムベースのタッチセンサーや圧力の強弱を検知するフォースセンサー、気体の状態を検知するガスセンサーなどを展開する事業で、その製品はグローバル市場でスマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機、産業用機器、自動車などに広く採用されています。NISSHAが展開する4つの事業のなかで最も大きな事業であり、2018年度の売上高構成比率は全社の約60%を占めました。

同事業の製品開発や試作、そして量産を一手に担うのは、当社の子会社であるナイテック・プレシジョン・アンド・テクノロジーズ株式会社(以下、NPT)です。姫路、加賀、津、京都の4工場を展開し、グローバルなお客さまから信頼され、安心して仕事を任せていただける生産体制の構築とその維持に取り組んでいます。

お客さまに信頼される工場であり続けるためには、製品の安定的な供給や効率的なものづくり、徹底した品質管理などはもとより、私たちの工場が、環境や人権、安全衛生などといった課題にしっかりと向き合い倫理的な操業を行うことが重要です。NPTは、日々の事業活動に労働・安全衛生・環境・倫理などにおける国際的な行動規範であるRBA(Responsible Business Alliance)の基準を取り入れるとともに、お客さまが実施されるSR(Supplier Responsibility)監査での是正対応などを通して、常に工場のレベルアップを図っています。

この特集では、NPTの加賀工場で工場長を務める西田昌弘さんと、NISSHAの総務部環境安全グループに所属し、工場の環境安全やその管理をサポートする江本奈緒子さんの対談を通して、ディバイス事業の取り組みを紹介します。

RBAへの準拠を通じた工場のレベルアップ

  • 江本

    NPT加賀工場はディバイス事業を支える主力工場のひとつとして、RBA基準の順守やお客さまによるSR監査に日常的に対応されていますね。

  • 西田

    RBAはタッチセンサーのような電子部品のほか、自動車、玩具、飛行機、IoTなどの産業における行動規範(Code of Conduct)をグローバルな基準で示しています。労働、安全衛生、環境、倫理の4つの分野で基準を提示し、それぞれを推進するマネジメントシステムの構築を求めています。

西田昌弘
ナイテック・プレシジョン・アンド・テクノロジーズ株式会社加賀工場 工場長。1984年NISSHA株式会社入社、中央研究所(当時)で電子部品の製品開発に携わる。2000年に産業資材事業部へ異動し品質管理・設計・技術開発を担当。2012年にディバイス事業部へ異動、生産技術部を経て2015年より現職。
  • 江本

    RBAの要請の中には、法律で定められている基準よりも厳しいものがありますね。

  • 西田

    そうですね。RBAはグローバルな行動規範であり、その基準には日本の法令を越えるようなものも数多く示されています。それら全てに即座に対応するのは難しい面もありますが、お客さまからの信頼を得るためには、このようなグローバル基準の順守が必須であり、お客さまとの取引を開始・継続するうえでの必要要件となっています。

  • 江本

    数年前と比べて、お客さまからRBAもしくは同等の行動規範への順守を求められることがずいぶん増えましたね。当社のお客さまの多くは最終製品を販売されるため、自社内での事故や不祥事だけでなく、仕事を委託するサプライヤーでの事故や不祥事についても、その責任を問われることが多くなりました。NGOやNPO、市民から企業に向けられる期待や監視は日に日に厳しくなっており、ひとたび不祥事が発覚すると操業停止に追い込まれたり、その企業の製品に対する不買運動が起ったりすることも珍しくありませんね。

江本奈緒子
NISSHA株式会社 総務部環境安全グループ勤務。
入社後、財務部門から安全衛生担当部門に異動、2014年より現職。職場の安全パトロール、社内研修講師、さらにはお客さまのSR監査対応など、幅広い業務を担当。「NISSHAの製品やサービスに付加価値を与える活動」を心がけている。
  • 西田

    その通りだと思います。RBAは電子部品や自動車産業およびそのサプライチェーンにおいて「労働環境の安全性」「労働者に対する敬意と尊厳を持った処遇」「環境への責任」「業務の倫理性」を求める取り組みですが、お客さま自身のリスク管理でもあります。NISSHAグループがRBAを順守することは当社がお客さまにとって安心・安全なサプライヤーであることを意味しており、同時にお客さまに選んでいただける機会に繋がるのです。

  • 江本

    そのためには、環境や安全衛生の管理や人権への取り組みなどが継続的に改善されるよう、マネジメントシステムを回していくことが重要ですね。私はNISSHAの環境安全グループの担当として工場でのお客さま監査に立ち会うこと多くがありますが、NPTのすべての工場での取り組みや管理のレベルが確実にアップしてきたことを実感しています。

工場で働くすべての人たちの人権に配慮

  • 江本

    RBAの行動規範は、全体を通して人権への配慮を優先した内容になっていますね。行動規範はILO宣言や世界人権宣言を含む国際的な人権基準に由来していると聞いています。

  • 西田

    そうですね。RBAは対象となる工場で働くすべての労働者に対する強制的な労働を禁止しています。奴隷や人身売買による労働の禁止はもちろん、すべての作業が自発的であることを求めています。また、働く施設における労働者の移動の自由や、労働者の雇用を終了する自由を求めているほか、雇用者が労働者の身分証明書やパスポートなどを保持することも禁止しています。さらに、労働者が就職する際に支払った斡旋手数料などの雇用に関わる手数料があれば、雇用者によって返金することも求めています。

  • 江本

    その背景には、移民労働者や外国人労働者に対する差別や非人道的な処遇があるようです。加賀工場では、ベトナムからの技能実習生の方々を受け入れていますね。

  • 西田

    はい。もちろん、技能実習生の方々に対してもRBAを順守した対応を取っています。日々の業務においては、より安全・安心に働いていただくため、構内の掲示物や避難経路を含む案内ポスターなどを整備しています。もちろん掲示物は日本語とベトナム語の表記となっています。

ベトナム人技能実習生との面談

ベトナム人技能実習生との面談

事業の変化にも対応する土台を構築

  • 江本

    なるほど。RBAの行動規範をベースに工場を運営することによって、グローバルなお客さまにも安心して仕事を任せていただける土台ができているということですね。

  • 西田

    その通りです。その土台はものづくり企業であるNISSHAを支える基礎部分であり、たとえ工場で生産する製品が変化したとしても、お客さまに安心して仕事を任せていただけるものだと考えています。RBAの順守を通して培ってきた工場の土台はNISSHAの強みだと言えます。

  • 江本

    事業の変化といえば、西田工場長ご自身も、ディバイス事業部に異動される前は産業資材事業部で開発に携わられていたとお聞きしました。

  • 西田

    はい。産業資材事業部では開発・設計・品質管理を任されていました。その時の経験は工場を運営するという現在の仕事に生かされています。また、今からもう25年ほど前になりますが、全社開発組織の中で液晶パネル向けの部材開発に携わっていました。その際に取り組んだフォトリソグラフィー工法*が、現在当社が生産するタッチセンサーに応用されています。

  • 江本

    NISSHAの進化とともに歩んでこられたのですね。

  • 西田

    NISSHAは変化を続ける対象市場やお客さまのニーズに耳を傾け、それらに応える製品やサービスを創出・提供して成長してきました。今後も進化し続ける事業を支え続けるために、さらに強固な土台を築いていきたいと思っています。

*フォトリソグラフィー工法: 感光性材料(レジスト)を塗布した物質の表面を露光することで、高精度なパターンを形成する技術。

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