超高精細デジタル撮影装置をアップグレード

2012年3月21日

日本写真印刷株式会社

日本写真印刷株式会社(以下、日本写真印刷)は、文化財の超高精細デジタルアーカイブに使用するバックスライド方式分割撮影装置※1の性能を向上させ、28億画素の画像データを5分以内に取得することに成功しました。
撮影が長期間に及ぶと文化財にダメージを与える可能性があるため、文化財のデジタル撮影には高画質であることに加え、速度が求められます。同装置は画質と速度の両面において世界最高レベルです。
2012年2月15日、同装置で国宝「紫綾金銀泥両界曼荼羅図※2」のデジタル撮影を行いました。縦4メートルを超える日本最古の貴重な両界曼荼羅図のデジタルアーカイブ化は、画質と速度を両立する同装置がなければ実現しませんでした。
日本写真印刷は、今後も超高精細デジタルアーカイブの技術で文化財の保全や研究調査に貢献していきます。

※1 バックスライド方式分割撮影装置
ふすま絵やびょうぶなどの大型文化財をデジタルアーカイブ化するため2006年に自社開発したデジタル撮影装置。画像は分割して撮影後、当社独自の超高性能画像処理で合成する。被写体との距離と光軸を変えずに撮影できるため、合成時補完(変形)処理を必要とせず、精度の高い超高精細画像データが得られる。

※2 紫綾金銀泥両界曼荼羅図(しりょうきんぎんでいりょうかいまんだらず)
神護寺(じんごじ、京都市右京区)所蔵の密教絵画。通称高雄曼荼羅。平安時代初期の作で、現存する両界曼荼羅図では最も古い。「胎蔵曼荼羅」と「金剛界曼荼羅」の二幅で構成され、どちらも縦横約4メートルあり、両界曼荼羅図では最大。空海在世時の作で、美術史上、仏教史上貴重な作品。国宝。2012年2月15日撮影を行ったのは二幅のうちの一幅。

背景

最新のバックスライド方式分割撮影装置

創業当初から美術印刷を通じて文化財や美術品と深くかかわってきた日本写真印刷は、1995年から文化財デジタルアーカイブの技術開発を進めてきました。
大型の文化財を撮影するため、バックスライド方式分割撮影装置を開発したのが2006年です。当時28億画素を取得するには16時間以上を要しました。
ダメージを与えないよう細心の注意を払わなければならない文化財の撮影では、撮影時間の短縮が課題です。
その後最先端の画像データ解析技術を追随して装置の性能を段階的に上げ、2011年12月に28億画素を5分以内に取得することに成功しました。

国宝「紫綾金銀泥両界曼荼羅図」デジタル撮影

国宝「紫綾金銀泥両界曼荼羅図」デジタル撮影の様子

2012年2月15日、日本写真印刷は東京国立博物館の委託を受け、最新のバックスライド方式分割撮影装置で、神護寺(京都市右京区)所蔵の国宝「紫綾金銀泥両界曼荼羅図」(二幅のうち一幅)のデジタル撮影を行いました。
現存する両界曼荼羅図で最古かつ最大の「紫綾金銀泥両界曼荼羅図」は一幅が縦横約4メートルという大作ですが、1日で通常のデジタル撮影と赤外線撮影を終え、225億画素という超高精細画像データを取得しました。
そのデータを部分的に拡大表示させると、ルーペでも確認できない詳細を観察することができます。さらに同日行った赤外線撮影データで、劣化によりほとんど確認することができなかった絵画とその詳細を知ることができます。
常時は厳格に管理された暗所に保存され目にすることができない「紫綾金銀泥両界曼荼羅図」。そのデジタルアーカイブは、記録とともに、調査研究に活用されます。
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